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アジアの中での日本のコーポレートガバナンス

日本がアジアの一員であることから、アジアという地域の括りで、日本企業のコーポレートガバナンスが議論されることが多い。とくに、欧米の投資家は、その傾向が強い。しかし、アジアの国々も、それぞれ置かれている立場が違うことから、コーポレートガバナンスを一律に評価することは難しい。また、各国によってコーポレートガバナンスに関して、何が重要であるか大きく異なる。

よく、日本企業のコーポレートガバナンスの問題として、取締役会の脆弱性が採り上げられる。日本企業の取締役会が、アジアの他の国々と比較して、独立社外取締役やダイバシティーにおいて、遅れていることが指摘される。しかし、日本のコーポレートガバナンスが、他のアジアの国々のそれと比較して、大きく劣っているわけではない。

アジアの多くの国々の企業では、創業者一族や国が株式の過半数を所有しており、取締役会がどれほど強化されていても、大株主によって経営が行われる可能性が高い。こうした企業の取締役会と、一般の日本企業の取締役会を単純に比較することはできない。例えば、こうしたアジアの企業では、取締役会における指名委員会の役割は形骸化してしまっている。結局、大株主が、次期のCEOを決定してしまうからである。一方、日本では、この指名委員会の導入が極めて重要な意味を持つ。大株主でもない現CEOが次期CEOを決定することが問題となっていることから、独立した指名委員会の導入は急務である。

また、アジアの国々では、こうした大株主がいなくても、取締役会に影響を与える機関が存在する。こうした機関を把握しない限り、取締役会だけでの評価では、コーポレートガバナンスを見誤ることになる。たとえば、中国の企業であれば、民間企業でも共産党委員会が設置されていることがある。こうした取締役会に影響を与える機関を、考慮しなければならない。もちろん、日本の場合も、取締役のメンバーでないにも関わらず会社の意思決定に影響を与える、顧問・相談役の問題がある。

以上のように、コーポレートガバナンスといっても、アジア各国ごとに、事情は異なる。とくに、日本の状況は、アジアの中でも特異である。それぞれの国の歴史、政治、経済、企業の発展段階によって、コーポレートガバナンスの重要点は異なり、個別に評価していく必要がある。

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